京都アニメーションという「沼」
<京都アニメーションという「沼」!> ・それ自体がブランド化されている ・「らしいけど、ちょっとずつ違う」多様性 ・監督、スタッフが持つ個性 |
こんにちは。
今日はメインブログの記事の続きを書いていきます。
京都アニメーションが面白いところは、それ自体がブランド化された存在であるところです。それこそ「スタジオジブリ」のように、です。
例えば、京都アニメーションの作品群をフォローした場合、現在放送中の『小林さんちのメイドラゴンS』は「京都アニメーションの最新作」と認識することになります。それこそ多くの人が『竜とそばかすの姫』を「細田守監督最新作」と認識するように、ここでは制作会社に立脚して作品を観ることになるわけです。
さらに、「京アニ作品」をフォローする面白さは、同社が作ってきたアニメーション作品たちの「らしいけど、ちょっとずつ違う」絶妙な多様性にあると、私は考えます。
続きを読む主題歌は「月がきれい」:アニメ『月がきれい』レビュー(終)
小太郎:あの……あれ、大会って。
茜:自己ベスト更新した!
小太郎:すげぇ! おめでとう。
茜:ありがとう。
小太郎:どうだったのかな、って。
茜:充電、切れて……。
小太郎:えー?(笑う)
茜:帰り、神社いるかなと思って……会えたし。
小太郎:……うん。
小太郎:(水面に映る月を見つめる)
茜:(安曇くんを見る)
茜(モノローグ):なんか、変なの。
小太郎(モノローグ):”I love you."を「月がきれいですね」と訳したのは、太宰治だっけ。夏目漱石だっけ。
小太郎:(水野さんの横顔を見つめる。黒髪が風に揺れている)
茜:(安曇くんの視線に気付き、顔を上げる)……あ。
小太郎:……あ。(顔を逸らす)
小太郎:……つき。
茜:え、月?(夜空を見上げる。満月の光が降り注いでいる)ほんと、月きれい。(笑みをこぼす)
小太郎:(水野さんの笑顔にときめいて)
小太郎:……つき、あって。
茜:えっ。
茜:(うまく言葉が出ない)
二人の間に風が吹く。
小太郎:(じっと水野さんを見つめる)
水面に満月が映る。
(テレビアニメ『月がきれい』第3話「月に吠える」)
こんにちは。アニメ『月がきれい』(2017年春、監督:岸誠二)のレビュー連載。定期更新としては、今回が最終回です。
最後は、主題歌を取り上げます。
本作の主題歌には、オープニングの「イマココ」とエンディングの「月がきれい」の二つがあります。いずれも文字通りの”主題”歌です。
特に、エンディングテーマの題名は「月がきれい」。アニメのタイトルが題名になっています。その歌詞がいいなと思いましたので、今回はエンディング主題歌について、書いてみたいと思います。
続きを読む最終話の二人を繋いだもの:アニメ『月がきれい』レビュー(5)
小太郎:次いつ会える?
茜:いつでもいいよ。
小太郎:会いに行っていい? 毎週行くから。
茜:(思いつめたように)うん。
(略)
小太郎:片道2時間? 始発で行く。長くいられる。今までと変わんないよ。LINEもあるし。
茜:(声が震え)けど……小太郎くんばっかり辛いのって……。
小太郎:へーきへーき。
茜:私も貯金あるよ?
小太郎:無理しなくてもいいって。
茜:そうじゃなくって!
茜:(うつむく)
小太郎(驚いて)茜、ちゃん……?
(略)
茜:(涙を流し)私、ずっと、不安で……不安で……小太郎くんに……迷惑ばっかりっ……それが、一番つらいっ……どうしたらいいの……?
(略)
こんにちは。アニメ『月がきれい』(2017年春、監督:岸誠二)のレビュー第五回です。
前回の記事「茜が不安を抱えたワケ」では、最終話で茜が強い不安を抱えてしまっていたのは、人格形成過程で姉から獲得した「現実的」な考え方によるところが大きかった、ということを述べました。
一方、二人の将来を楽観していた小太郎は、どのようにして人格を形成してきたのでしょうか。
悪いことではありませんが、一人っ子で育った小太郎には、生活に根差し、その人生をもって生き方の手本を示してくれる、年の近い先人がいませんでした。そんな中、小太郎の人格を作り上げてきたものこそが、小説でした。
- 〇繰り返された「小説からの引用」
- 〇茜と小太郎の違い
- 〇なぜ二人は結ばれたのか
- 〇序盤との対比
ラストシーンへの納得:アニメ『月がきれい』レビュー(3)
こんにちは。
アニメ『月がきれい』(2017年春、監督:岸誠二)のレビュー第三回です。
前回の記事「流れる緊張感の正体:アニメ『月がきれい』レビュー(2)」では、安曇小太郎と水野茜の二人が別々のコミュニティに所属していたことによって、本作には切実さと緊張感が生まれた、そんな話をしました。今回はその延長線上で、本作の最終話についての話を展開していきたいと思います。
私が本作を観ていて最も衝撃を受けたのは、最終話の後に流れた特殊エンディングで描かれている、小太郎と茜の「二人の未来」です。
- 〇『秒速』と真逆のラストシーン
- 〇それぞれの”属性”
- 〇揺るぎないものが”二人”を繋ぎ続ける